GHQが焚書処分した軍隊に関する本~~『軍隊教育漫画 輝く無敵陸軍』

GHQ焚書

 GHQ焚書の中に昭和十三年に出版された『軍隊教育漫画 輝く無敵陸軍』という本がある。焚書処分された本の中には『決戦漫画輯』(金子三郎 編)という本も存在するが、「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されている漫画はこの本だけのようだ。

 上の画像は『軍隊教育漫画 輝く無敵陸軍』の最初のページだが、右側には「徴兵は師管毎に各連隊区の区域に従って徴集し、入営するのが通例である。現役兵の入営期日は、特別の兵科のほかは翌年一月十日、短期現役兵の入営は四月一日と定めてある。言うまでもなく兵役は国民の一大義務、召されて国家の干城たる、正に男子至上の名誉とというべきである」と解説されている。

 上の画像は「点呼」だが、「点呼には普通日朝(にっちょう)点呼と日夕(にっせき)点呼とがあって、毎日朝夕二回これを行う日朝点呼は起床した時、軍服を着けてそれぞれ所定の位置で人員検査を受けるのである。診断を受ける者はこの時その旨を内務班長に届け出る。日夕点呼は通常消灯時三十分乃至一時間前に行うが、命令訓示等はこの時に伝達される」と解説されている。

 上の画像は「俸給日」だが解説には「兵隊さんの俸給は十日目毎に主計から渡される。俸給は等級および任地によって異なるので一様ではない。但し、戦時は戦時手当として二割増し、出征すれば八割増しとなる。いずこも同じ俸給日というものは悪くないものと見える。兵隊さんのこのニコニコ顔を見よ」とある。

 こんな感じの96枚の画像で、軍隊の生活を中心に解説している本なのだが、戦争を体験した日本人のほとんどがこの世を去ってしまった現在、軍隊の生活や訓練内容を具体的に知ることが出来る本がネットで公開されていることは有難いことである。

 GHQがなぜこの本を没収・廃棄したのかと疑問を覚えながらページをめくっていくと、最後の六枚の絵が「敵前渡河」「上海市街戦」「トーチカ戦」「南京爆撃」「クリーク戦」「皇軍南京入場」でいずれも「支那事変」(今日では「日中戦争」と呼ぶ)に関するものである。そのあと支那事変の「忠勇美談」や「軍人書翰」が16ページ続いているのだが、焚書処分を受けた理由がこのあたりにあるのではないかと思われる。

 GHQは「支那事変」に関する書物を徹底的に焚書処分している。タイトルに「支那事変」という字を含む書籍だけで、122点も処分しているのはあまりにも多い。具体的かつ詳細に記された戦記や写真集などが多数焚書にされたのは、GHQが広めようとした歴史とは異なる真実が多数記述されているからではないかと誰でも勘繰りたくなる。ちなみに、本のタイトルで中国に関する書籍と判るものだけで413点が焚書処分されており、国別に分類すると次に焚書が多い国はドイツ関連で232点、その次がアメリカ関連で157点、イギリス関連117点、ロシア関連99点と続く。中国に関するかなり多くの真実が、戦後の日本人に読めないようにされていることを知るべきである。

 新型コロナの感染情報に関して、中国共産党が流している報道内容をそのまま信じる日本人は少ないと思うのだが、このように嘘を吐きつづける国が声高に主張する歴史についても疑問を抱くことが必要だと思う。

 今回はGHQ焚書のうち、タイトルに「軍隊」「軍部」「大本営」を含む書籍40点をリストアップしたが、うち18点が「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されている。

タイトル著者・編者出版社国立国会図書館デジタルコレクションURL出版年
改正軍隊教育令の分類的註解武揚社書店 [編]武揚社書店https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1457398昭和15
教訓漫談 軍隊風景浅井寿兵 文武書院https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1465598昭和6
軍縮会議と軍部強硬の真相原田篤五郎日東書院
軍隊教育学概論鈴木庫三 目黒書店
軍隊教育漫画 
輝く無敵陸軍
軍事普及会軍事普及会https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460481昭和13
軍隊教育要論沼田徳重 兵書出版社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464335昭和7
軍隊講義 上日本国防協会 監修編纂日本国防協会出版部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1106356昭和17
軍隊講義 中日本国防協会 監修編纂日本国防協会出版部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1465932昭和17
軍隊小説散る花残る花徳永 凡児訓社
軍隊生活の実際石原 寶三山情報社
軍隊精神教育の参考斉藤市平 尚兵館https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460793昭和15
軍隊戦争国民組織白根孝之青山出版社
軍隊、戦闘、国民組織白根孝之青山出版社
軍隊体育の研究平田内蔵吉 山雅房https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125826昭和18
軍隊的工場管理小桜軍二ダイヤモンド社
軍隊内務教育山崎慶一郎琢磨車
軍隊内務の新研究成武堂編纂部 編成武堂https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464407昭和10
軍部イデオロギー東浩史 大和倶楽部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1455509昭和12
軍部と新国民運動松本富夫 心眼荘https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1273124昭和11
軍部と新支那の建設小林知治東海出版社
軍部の目標三島助治 国民政治経済研究所https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460180昭和16
軍部の国策全貌神田孝一 今日の問題社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1455755昭和11
軍部論永井三郎先憂社
軍部を衝く野依秀市秀文閣書房
経済戦略と経済参謀東京商大経済指導研 編ダイヤモンド社
国策参謀本部設置案資源整備調査局 資源整備調査局https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1274282昭和8
国内改革問題を軍部はどうするか上村文三 大文字書院https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1437388昭和13
国家と軍隊松平親義 松山房https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1462192昭和13
準戦時下の軍部と経済諸問題野田 豊今日の問題社
昭和十七年軍隊日記桜井忠温 春秋社松柏館
新時代の軍隊生活佐々木一雄 新日本書房https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1465345昭和6
新満州国策の提唱 
吠える軍部
米野豊実朝風社
スパイ軍隊市来 亮越後屋書房
政界の三大勢力を解剖す 
軍部・官僚・政党 
野村重太郎 今日の問題社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1455114昭和11
戦後の施策と陸軍の動向
軍部の回答書
大岩和嘉雄高山書院
大東亜戦捷記 
大本営発表 第二輯
神谷睦夫 編川瀬書店
大本営小笠原淳蔵東水社
大本営記者日記小川 力紘文社
戦ふ大本営陸軍報道部藤本弘道晴南社
独逸軍部論浜田常二良昭和刊行会
スポンサーリンク

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。よろしければ、この応援ボタンをクリックしていただくと、ランキングに反映されて大変励みになります。お手数をかけて申し訳ありません。
   ↓ ↓

にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ

 ブログ活動10年目の節目に当たり、前ブログ(『しばやんの日々』)で書き溜めてきたテーマをもとに、2019年4月に初めての著書である『大航海時代にわが国が西洋の植民地にならなかったのはなぜか』を出版しています。
 通説ではほとんど無視されていますが、キリスト教伝来以降ポルトガルやスペインがわが国を植民地にする意志を持っていたことは当時の記録を読めば明らかです。キリスト教が広められるとともに多くの寺や神社が破壊され、多くの日本人が海外に奴隷に売られ、長崎などの日本の領土がイエズス会などに奪われていったのですが、当時の為政者たちはいかにして西洋の侵略からわが国を守ろうとしたのかという視点で、鉄砲伝来から鎖国に至るまでの約100年の歴史をまとめた内容になっています。
 読んで頂ければ通説が何を隠そうとしているのかがお分かりになると思います。興味のある方は是非ご一読ください。

無名の著者ゆえ一般の書店で店頭にはあまり置かれていませんが、お取り寄せは全国どこの書店でも可能です。もちろんネットでも購入ができます。
電子書籍もKindle、楽天Koboより販売しています。

Kindle Unlimited会員の方は、読み放題(無料)で読むことが可能です。


内容の詳細や書評などは次の記事をご参照ください。

コメント

タグ

GHQ検閲・GHQ焚書209対外関係史81地方史62中国・支那57ロシア・ソ連57神戸大学 新聞記事文庫44反日・排日43イギリス41共産主義38神社仏閣庭園旧跡巡り36アメリカ33ユダヤ人33日露戦争33軍事31欧米の植民地統治31著者別31神仏分離31政治史29京都府28廃仏毀釈27朝鮮半島26コミンテルン・第三インターナショナル26情報戦・宣伝戦25外交史25テロ・暗殺24対外戦争22キリスト教関係史21支那事変20西尾幹二動画20菊池寛19一揆・暴動・内乱17満州16豊臣秀吉16ハリー・パークス16ドイツ14紅葉13海軍13ナチス13西郷隆盛12東南アジア12神仏習合12陸軍11ルイス・フロイス11アーネスト・サトウ11情報収集11人種問題10スパイ・防諜10分割統治・分断工作10倭寇・八幡船10奴隷10大阪府10徳川慶喜10不平士族10インド10戦争文化叢書10ペリー9奈良県9和歌山県9イエズス会9神社合祀9岩倉具視9フランス9寺社破壊9伊藤痴遊9欧米の侵略8伊藤博文8文化史8A級戦犯8関東大震災8木戸孝允8韓国併合8自然災害史8ロシア革命8オランダ8小村寿太郎7ジョン・ラッセル7飢饉・食糧問題7修験7大久保利通7徳川斉昭7ナチス叢書7ジェイコブ・シフ6兵庫開港6奇兵隊6永松浅造6ロッシュ6大東亜戦争6紀州攻め5高須芳次郎5児玉源太郎5満州事変5大隈重信5滋賀県5ウィッテ5ジョン・ニール5武藤貞一5金子堅太郎5長野朗5日清戦争5兵庫県5隠れキリシタン5アヘン5財政・経済5国際連盟5山縣有朋5東京奠都4大火災4日本人町4津波4福井県4旧会津藩士4東郷平八郎4井上馨4阿部正弘4小西行長4山県信教4平田東助4堀田正睦4石川県4南方熊楠4高山右近4乃木希典4中井権次一統4三国干渉4フランシスコ・ザビエル4水戸藩4日独伊三国同盟4フィリピン4台湾4孝明天皇4スペイン4井伊直弼4西南戦争4明石元二郎3和宮降嫁3火野葦平3満洲3桜井忠温3張作霖3プチャーチン3生麦事件3徳川家臣団3藤木久志3督戦隊3関東軍3竹崎季長3川路聖謨3鹿児島県3士族の没落3勝海舟33ファシズム3日米和親条約3平田篤胤3王直3明治六年政変3ガスパル・コエリョ3薩英戦争3福永恭助3フビライ3山田長政3シュペーラー極小期3前原一誠3菅原道真33安政五カ国条約33朱印船貿易3北海道開拓3下関戦争3イザベラ・バード3タウンゼント・ハリス3高橋是清3レーニン3薩摩藩3柴五郎3静岡県3プレス・コード3伴天連追放令3松岡洋右3廃藩置県3義和団の乱3文禄・慶長の役3織田信長3ラス・ビハリ・ボース2大政奉還2野依秀市2大村益次郎2福沢諭吉2ハリマン2坂本龍馬2伊勢神宮2富山県2徴兵制2足利義満2熊本県2高知県2王政復古の大号令2三重県2版籍奉還2仲小路彰2南朝2尾崎秀實2文明開化2大江卓2山本権兵衛2沖縄2南京大虐殺?2文永の役2神道2淡路島2北条時宗2徳島県2懐良親王2地政学2土一揆2第二次世界大戦2大東亜2弘安の役2吉田松陰2オールコック2領土問題2豊臣秀次2板垣退助2島津貴久2島根県2下剋上2武田信玄2丹波佐吉2大川周明2GHQ焚書テーマ別リスト2島津久光2日光東照宮2鳥取県2足利義政2国際秘密力研究叢書2大友宗麟2安政の大獄2応仁の乱2徳富蘇峰2水野正次2オレンジ計画2オルガンティノ2安藤信正2水戸学2越前護法大一揆2江藤新平2便衣兵1広島県1足利義持1シーボルト1フェロノサ1福岡県1陸奥宗光1穴太衆1宮崎県1重野安繹1山中峯太郎1鎖国1藤原鎌足1加藤清正1転向1岐阜県1宮武外骨1科学・技術1五箇条の御誓文1愛知県11伊藤若冲1ハワイ1武藤山治1上杉謙信1一進会1大倉喜八郎1北条氏康1尾崎行雄1スターリン1桜田門外の変1徳川家光1浜田弥兵衛1徳川家康1長崎県1日野富子1北条早雲1蔣介石1大村純忠1徳川昭武1今井信郎1廣澤眞臣1鉄砲伝来1イタリア1岩倉遣外使節団1スポーツ1山口県1あじさい1グラバー1徳川光圀1香川県1佐賀県1士族授産1横井小楠1後藤象二郎1神奈川県1東京1大内義隆1財政・経済史1