「国立国会図書館デジタルコレクション」の全文検索で何ができるか
このブログの読者から時々、「大量の書籍の中からどうやって本をみつけるのか」との質問を受けることがよくある。昔なら何度も図書館に通い分厚い書籍の目次や本文を丹念に読まないとできなかったことが、今ではネット環境とパソコンがあれば、「国立国会図書館デジタルコレクション」の「個人向けデジタル化資料送信サービス」を用いることによって容易にできるようになっている。
例えば「都名所図会」で、京都の五条大橋のことがどのように記されているかを調べたいと思ったときには、昔なら「都名所図会」の復刻本がある図書館に行き、まず目次を開いて「五条橋」がどこにあるかを探し、該当のページを開けて読むという手順になるのだが、令和4年12月21日に「国立国会図書館デジタルコレクション」が全面的にリニューアルされ、「個人向けデジタル化資料送信サービス」を利用することで国立国会図書館の大半のデジタル資料が自宅のPCなどで読めることになったことから、その検索機能を用いれば「五条橋」が復刻本のどのページに存在するかが表示され、開けるべきページが即座にわかるのだ。
まず「国立国会図書館デジタルコレクション」にアクセスし、検索ボックスに「都名所図会」と入力し「検索」キーをクリックする。自宅で読める資料を前提にするなら「国立国会図書館内限定」条件の資料を外しておいたほうが良いだろう。
検索キーを押すと、「都名所図会」というキーワードがタイトルや本文などに含まれる書籍が3,978件もヒットした。検索結果はキーワードを含む件数の多い順に表示されるのだが、上から二番目の書籍が秋里籬島(あきさとりとう)著とあるので、江戸時代に書かれた『都名所図会』の復刻本である。
『都名所図会 本編』をクリックするとすぐに復刻本にたどり着けるが、ここで「全文検索」タブをクリックし、「五条橋」と入力して「検索」をクリックすると、この書籍で「五条橋」というキーワードを含むページの画像がすべて表示される。今回は6件がヒットした。
それぞれのページ画像をクリックすると、それぞれのページに飛ぶことが出来る。最初の2つは目次関連で、1つ目は本文、2つ目は挿絵のページ数が記されている。3つめが「五条橋」の本文、4つ目は「五条橋」の挿絵、残りの二つは他の名所の解説だが、それぞれの名所の住所に「五条橋通」を含むために表示されたことがわかる。
『都名所図会』の本文には「五条橋」について次のように記されている。
五條橋は初めは松原通に在り。則ちいにしえの五條通なり。秀吉の時此所にうつす。故に五條橋通りという。
『都名所図会 本編』人物往来社 昭和42年刊 p.101
今の五条大橋には「牛若丸と弁慶像」が建てられているのだが、『都名所図会』には牛若丸と弁慶が闘った話は出てこない。実は牛若丸と弁慶がいた時代に「五條大路」と呼んでいたのは今の「松原通り」であるのだが、では今の松原橋で牛若丸と弁慶が闘ったのかというのも正しくない。南北朝時代から室町時代初期に成立した『義経記』によると、牛若丸と弁慶は橋では戦っておらず、五條天神社と清水寺で戦ったことが書かれている。では、五條の橋の上で戦ったという話がいつ創作されたかについては旧ブログで詳しく書いたので、次の記事を参考にしていただければありがたい。
話を元に戻そう。「国立国会図書館デジタルコレクション」の検索機能を用いることで、短時間で様々な調べごとが出来る。たとえば、
①あまり知られていない人物の経歴等を調べる
国立国会図書館で所蔵されておりデジタル化されている資料の範囲内ではあるが、調べたい人物名で検索すると、同姓同名の人物かもしれないが、何冊かの書籍がヒットして、それぞれの書物の該当ページを開くことにより詳しい経歴がつかめることがある。
②あまり知られていない寺や神社、会社や地域の歴史などを調べる
同様の手法でいろんなことを調べることが可能だが、明治初期の宗教政策のために寺や神社の名前が変わっていることが多いので注意が必要。例えば「大原三千院」は明治四年に改名された寺名で、「都名所図会」では「梶井宮円融院梨本坊」で紹介されている。こういう場合は、「大原三千院」の近くにある「勝林寺」や「大原」などで検索して探せばよい。
③歴史上の大事件などの原因などについて、昔はどのように考えられていたかを調べる
何時の時代もどこの国でも、歴史は勝者にとって都合の良いように描かれる傾向にある。
重大事件の背景や原因の分析等について、戦前・戦中の書物と戦後の書物では内容が大きく異なることがよくあるのだが、調べてみると戦後の日本人には知らされていない史実がかなり存在しており、知らされていない理由は多くの場合、戦勝国やわが国の敗戦利得者にとって、その内容が広く知られることが不都合だと考えられているからだと思われる。特に、戦前・戦中に刊行されたわが国や世界情勢の分析や、歴史関連などの書物は、先入観を持たずに読むことは大切なことだと思う。
④いろんな書物でよく引用される有名人の名言、あるいは詩や和歌などの作品が、どの本の何ページに書かれているかを調べる
著者が外国人の場合は訳者等によってキーワードで引っかからないこともあるので、いろいろ検索ワードを工夫する必要あり。
同様に、「新古今和歌集」で桜を詠った作品を探すことや、「日本書紀」で丹波について書かれているページを探すということも、全文検索機能を用いれば容易にできる。
ヘブライ語がわが国の地方の民謡に残されている
最近Youtubeなどで、日本語の単語にブライ語に類似したものがあることや、各地に残る民謡で日本語では意味が分からないが、ヘブライ語としては意味が通じるといった情報を発信しておられる方が少なくない。ヘブライ語はイスラエルや、世界中のユダヤ系居住区で今も用いられている言葉なのだが、このような研究は戦前から行われていたことは「国立国会図書館デジタルコレクション」の検索機能を用いることで確認することが出来る。
例えば、「ヘブライ語」「日本語」「民謡」で1945年以前のものを検索すると、628件の図書や雑誌がヒットする(国立国会図書館内限定を除く)。昭和12年に出版された山根菊子著『光りは東方より』(GHQ焚書)に興味深い話が出ているので紹介させていただく。文中の戸來(へらい)村は現在の青森県三戸郡新郷村大字戸来で、十和利山(戸来岳)の山麓の集落なのだが、ここで代々伝わっていた不思議な民謡がある。
かつて少し前、川守田神学博士がこの戸来村村長佐々木伝次郎氏の宅に泊まられたことがあったが、その時この付近で唄われている古い民謡で、
ナーニヤード ヤラヨー ナーニヤード ナァ サァレダーデサイ
ナーニヤード ヤラヨーという唄を聞かれ、佐々木氏を始め村人にこの唄の意味を聞いたが誰も知る者がなく、ただこの村人達は意味は知らないが昔から唄い伝えられ、教られて来たままをまた唄い続けてきているに過ぎなかった。
ところが意外にも、このナーニヤードの唄が、実は日本語ではなくてヘブライ語であることが、川守田神学博士によって証明された。この意味は
御前に聖名を ほめ讃えん
御前に毛人を 掃蕩して
御前に聖名を ほめ讃えんという意味で、ヘブライ語でこそこの唄の意味の解釈がつくが、日本語では唄う付近の住民達さえ何のことやら分からないのを見て、既に大昔に於いて、このヘブライ語の唄が付近一帯の民謡になった程、この土地一帯はユダヤ人と深い過去の関係を持っていたことを知ることが出来、キリスト戸来村住居の古文献が、いよいよ此処に真実性を発揮してまたと得難き世界の謎を解く鍵であることを決定し得るものである。
山根菊子著『光りは東方より』日本と世界社 昭和12年刊 p.144~146
今では偽書であることが濃厚とされる竹内文書には、キリストが日本に来て死んだとする記述があり、山根菊子はそのことが事実であると信じてこの本を書いているのだが、民謡のお囃子がヘブライ語であるとの指摘が正しいとしても、それでもってキリストがこの地に来たとまで結論するのは説得力が乏しすぎる。
とは言いながら、古代にユダヤ人がこの地に来ていた可能性についてはかなり高いのではないかと考えている。わが国には全国各地に民謡があるが、その囃子詞(はやしことば)は日本語としては意味が分からずヘブライ語であれば意味が通じるというケースが極めて多いことは事実であり、とても偶然とは思えない。
『光りは東方より』の引用文中に出て来た川守田神学博士は、1924年にサンフランシスコ神学大学を卒業し1934年にウェストミンスター神学大学から名誉神学博士号したのち、1936年にサンフランシスコの日本人教会の牧師を勤めていた川守田英二氏のことである。戦後になって出版された『日本へブル詩歌の研究』や『日本エホバ古典』は彼の研究の集大成というべきもので、日本の詩歌や民謡にはヘブライ語でしか理解できない部分が数多く残されているというのだ。上の画像は『日本エホバ古典』のp.20~21だが、このようなページがp.74まで続いていて、この本でヘブライ語に訳されている民謡等の囃子の数は三百近いのである。一部はこじつけのようなものがあったとしても、これだけ数が多いことを考えると、日本の古代には各地にユダヤ人が住み着いていた可能性はかなり高いと考えるのが自然だろう。
訳文を一つつ一つあたってみると、攻撃的な内容が少なからずある。例えば「金太郎」の「ハッケー・ヨイヨイ」はユダヤ語で「汝、撃つべし、やっつけろ(早く勝負をつけろ)」という意味で、「ノコッタ」は「汝は撃ち破りたり(相手を)」という意味だという。また「ソーラン節」の「ドッコイショ」は「粉砕せよ生き残りの蝦夷を」と訳されている。
世界では極めて他民族に対する攻撃性の強かったユダヤ人がなぜか日本社会では同化して混血が進み、ユダヤ人の攻撃性は各地に残された民謡のお囃子に残されて、やがて誰もが日本文化や日本語に馴染んでお囃子の意味が分からなくなったと理解すればよいのだろうか。わが国の文化には、攻撃的な人種を和ませる何かがあるのかもしれない。
国立国会図書館のデジタル化資料は図書161万点、雑誌137万点
「国立国会図書館デジタルコレクション」で収録されているのは、図書で161万点、雑誌で137万点のほか、古典籍資料や博士論文なども収録されている。ネット公開されているものは図書の22%、雑誌の1%しかないのだが、「個人向けデジタル化資料送信サービス」の手続きをすれば、「国立国会図書館デジタルコレクション」に収録されている大半の書籍・雑誌に、無料でアクセスができるようになる。
今までなら図書館に行って興味のあることを調べることには、関連のありそうな本を探すことだけでかなりの時間を使わざるを得なかったのだが、今では調べたいことを「国立国会図書館デジタルコレクション」の検索機能を用いることで読むべき本や論文を自宅のPCなどで絞り込むことができ、面白い本と出合ったり、あまり知られていない真実を発見することが容易に出来る。
テレビや新聞から流される情報はどこかの国に忖度して編集されていることが大半なのだが、もし内容に疑問に感じたら時間の余裕のある時に、「国立国会図書館デジタルコレクション」の検索機能を用いて自分で調べてみてほしいと思う。興味を持ったことについて自分で納得できるまで調べることが本当の勉強であり、通説の内容を確認するだけで終わってしまっては、マスコミ等に洗脳されている状態から脱することは不可能である。
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