GHQが最初に没収を命じた10点の書籍~~大東亜戦争調査会編『米英挑戦の真相』

GHQ焚書

 GHQが最初に書籍の没収を命じたのは昭和二十一年のことで、三月十七日付の覚書には「宣伝用刊行物の没収」とのタイトルで、次のように記されていたという。

 日本政府に対し、次のリストにある宣伝用刊行物を多量に保有している倉庫、書店、書籍取扱業者(古書店)、出版社、配給会社(問屋)、広告宣伝会社、並びに政府諸官庁などいっさいの公共のルートから、これら刊行物を一ヶ所に蒐集することを指示する

(西尾幹二著『GHQ焚書図書開封 1』徳間書店 2008年刊 p.21)

 GHQがこの覚書で没収を命じた書籍は以下の10点である。原文ではタイトルと著者、出版年が書かれていたが、誤字もあり、空欄も多いのだが、それらを補完すると以下のようなリストになる。

タイトル著者・編者出版社出版年国立国会図書館デジタルコレクションURL復刊情報
War & Construction朝日新聞社編朝日新聞社昭和18
戦時新聞読本平田外喜二郎毎日新聞社昭和15
近代海戦毎日新聞社編毎日新聞社昭和16
米英挑戦の真相大東亜戦争調査会 編毎日新聞社昭和18https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1459212呉Pass復刻選書
少年飛行兵読本陸軍情報部毎日新聞社昭和18
米英の東亜攪乱大東亜戦争調査会 編毎日新聞社昭和18呉Pass復刻選書
米国の世界侵略大東亜戦争調査会 編毎日新聞社昭和17呉Pass復刻選書
大東亜の建設大東亜戦争調査会 編毎日新聞社昭和19呉Pass復刻選書
婦人亜細亜毎日新聞社毎日新聞社月刊誌
Sakura毎日新聞社毎日新聞社月刊誌

 この覚書には、これらの書籍を「パルプに再生するため」に中央倉庫に指示命令が出るまで保管するとともに、毎月十五日と末日に、没収書籍のタイトル別の数量、タイトル別の刊行数量、各出所ごとの蒐集刊行物のタイトルと数量、全重量、保管場所をまとめてGHQに報告書の提出を命じている。

 「宣伝用刊行物の没収」に関する指令はこの覚書を第一回とし、以降昭和二十三年四月十五日まで計四十八回出されているのだが、没収対象とされた書籍は重複を省くと全部で七千百点程度となる。

 GHQが最初に没収を指定した書籍に何が書かれているかは興味深いところだが、ネット公開されている『米英挑戦の真相』の文章の最後の部分を紹介したい。この本は「大東亜戦争調査会」から出された最初の本で、当時の世界情勢を冷静に分析しており、わが国がどのような状況に置かれていたかを知ることができる。

 米国が日露戦争直後より今次開戦直前に至るまで、あるいは排斥、あるいは圧迫、果ては弾圧など、わが国に加えた侮辱と非礼とは、世界四千年の国交史に稀なるものであり、また英国が明治維新前後より日清戦争まで、そしてワシントン会議より今次開戦直前まで、わが国に対してとった態度も、これまた米国と何れか烏の雌雄を知らんやの類で、ただ米国の如き暗愚下劣なる露出症的態度でなかったというに止まる。過去幾多の米英の対日外交振りを見れば、その内容の暴慢なるは勿論、その態度や傲慢、その言辞や横柄、なすところは悪辣非道筆舌を以て形容しがたきものがあり、顧みて、よくもわれわれの先輩はこれを堪忍してきたものだと、その自重の裏に潜む萬斛の血涙を、そぞろに偲ばざるを得ない程である。かかる米英の対日非礼史、侮日史は他の分冊に譲って、ここには単に軍事上から、この対日包囲陣のもつ戦略的敵性を指摘するに止めよう。これほどの悪辣なる戦略は、歴史上未だ嘗てなかったと敢えて断定して憚らないのである

 彼等が我が国を軍事的に包囲するに先立って、わが国をまず外交的に孤立無援にしてしまおうと企図したこと、この外交包囲にも満足せず、更にわが国の窮乏、衰微を策して、わが国に対する卑劣な経済圧迫を続け、わが国をして経済的孤立に導かんとしたことは、前に記したとおりである。彼等は日本民族の移民を完全に排斥し、わが国製品の輸入や、彼らの日本への輸出品をば、彼らの本国と属領とから、意の如く制限したのみならず、他民族の国からまでも日本排斥を策し、謀略を以てこれを実行せしめた。即ち我が国を完全に”はねのけもの”にして貧乏人にしてしまおうという策で、この排日、侮日は、ついに悪辣なる経済包囲、経済封鎖という目的のために手段を選ばざる結果を招来した。彼らの企図したところは、わが国を丸裸体(はだか)にし丸腰にした上で軍事包囲をしてわが国を袋叩きにしようとしたのである。なかんづくわが国への油道の切断こそ、その悪辣性の最なるものであった。油道を切断して、わが国の艦船、飛行機、機械化部隊が動かなくなれば、わが国を刃に血塗らずして武装解除し、少なくもわが国の軍備をして、日本国産の油で維持し得る程度にまで制限したのと同様である。こうしておいて、わが国を袋叩きにして打ちのめそうとしたのである。たとえを以て言うならば、ギャングの親玉がその配下を語らって、善良なる一人の少年を取り巻いて袋叩きの気勢を示しつつ、侮辱、罵詈し、難題を吹きかけ、聴かねば打ちのめすぞという構えの姿勢、それがこの対日包囲網であったのだ。

開戦前の包囲陣は包囲陣に非ずして攻囲陣であったことは前述のとおりである。およそ何れの国に於いても、自国防衛のため必要なる防備をなすのは当然のことであり、もちろん仮想敵国との交戦の場合を充分に考慮のうちに入れるのも当然のことであるが、それは内容に於いても、外観的にも、守勢的でもあるべき筈である。袋叩き的構えたる攻勢包囲陣を造って挑戦し、相手をして起たざるを得ざらしめ、起てばたこれを袋叩きにして打ちのめそうというような戦略は、世界史上未だ見ざる悪辣な戦略だと断言することが出来る

 わが国史を見ても、世界史を見ても、戦端を開いた後、敵の城塞を攻囲し、糧道、水道を断ち切って攻め立てることは、先頭の常則であり、別に不思議はないが、開戦前、敵を包囲し、その糧道及び水道と同様である油道その他の軍需資源の道を絶ち切り、袋叩きの攻勢的構えをなし、これを以て傲慢無礼極まりなき外交折衝の後拠とした例は、古来ただ大東亜戦争開戦前の米英中心の対日軍事包囲陣あるのみである。

 かかる悪辣性の包囲陣である。いわば挑戦そのものであったのだ。起たざればわが国は自滅するか、袋叩きにされて落命するか、であったのだ。蹶然、わが国がその自立自衛のために立ったのは、いわば当然の帰結であったのだ

(大東亜戦争調査会 編『米英挑戦の真相』毎日新聞社 昭和18年刊 p.259~262)
米英挑戦の真相 - 国立国会図書館デジタルコレクション
国立国会図書館デジタルコレクションは、国立国会図書館で収集・保存しているデジタル資料を検索・閲覧できるサービスです。

 わが国は生命線が断たれて、開戦をせざるを得ない状況に追い詰められてやむなく参戦したと書いているのだが、1951年5月3日米国議会上院の軍事外交合同委員会で第二次世界大戦における対日戦略が討議された時に、連合軍最高司令官を務めたダグラス・マッカーサーが証言として述べたことと内容を比較して欲しい。ちなみに、マッカーサーが「彼ら」と言っているのは「日本」のことである。

彼らは、工場を建設し、労働力を抱えていましたが、基本資材を保有していませんでした。

日本には、蚕を除いては、国産の資源はほとんど何もありません。

彼らには、綿が無く、羊毛が無く、石油製品が無く、スズが無く、ゴムが無く、その他にも多くの資源が欠乏しています。それらすべてのものは、アジア海域に存在していたのです。

これらの供給が断たれた場合には、日本では、一千万人から一千二百万人の失業者が生まれるという恐怖感がありました。

したがって、彼らが戦争を始めた目的は、主として安全保障上の必要に迫られてのことだったのです。

対訳 マッカーサー証言

 連合軍最高司令官であったマッカーサー自身が、日本が参戦したのは「安全保障上の必要に迫られて」と言っていることは極めて重要なことなのだが、残念ながら戦後のわが国では、わが国が侵略目的で参戦したとする歴史観と矛盾するこのような史実は未だにタブーとされており、マスコミなどで取り上げられることは皆無と言って良い。

 大東亜戦争調査会が編集した研究報告書の一部は、呉Pass出版から復刻されて買い求めやすくなっている。初回の「宣伝用刊行物の没収」に関する指令には洩れたが、『米英の東亜制覇政策』という書籍も別途没収指令が出されている。

 また、『米英挑戦の真相』については、西尾幹二氏が動画で5回に分けて解説をしておられる。興味のある方は視聴して頂きたい。

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 前ブログ(『しばやんの日々』)で書き溜めてきたテーマをもとに、2019年の4月に初めての著書である『大航海時代にわが国が西洋の植民地にならなかったのはなぜか』を出版しました。

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