GHQが焚書処分した「科学」「化学」「毒(ガス)」「技術」をタイトルに含む本~~竹内時男『新兵器と科学戦』

GHQ焚書

 新型コロナウィルスが世界中で蔓延し、某国が意図的に広めたのではないかという議論がある。細菌やウィルスは特定国に安価で甚大なダメージを与えることが出来ることに注目して、昔から多くの国で兵器として用いる研究がなされていたことは事実である。

 GHQ焚書の中で、病原菌を兵器として用いたことについての記述がないかと調べていくと、昭和13年(1938年)に出版された竹内時男 著『新兵器と科学戦』という本の「近づく未来戦:近き将来に現れる化学兵器」という章の中に、「猛威を奮う細菌戦」という文章が見つかった。少し紹介してみたい。

 細菌戦は今度の支那事変で蒋介石が盛んに採用した死にもの狂いの卑劣極まる戦術であるが、敵が飲むだろうと思う井戸に病菌を投げ込んでおくのが簡単な方法である。これは、戦争に関係のない一般の人も被害を受ける非人道的な方法なのであるが、欧州大戦でドイツ軍は細菌でない穢い物などでよごして、その水を使えぬようにした

 この細菌により伝染病を蔓延させようとするのは、弾丸を使わずに敵軍を悩ましてやろうとするのであるが、敵の水道の水源地をふさいで戦争をできなくさせる方法よりもっと悪辣極まる戦術だが、今後も最後の手段として毒ガスと一緒に猛威を奮うかもしれない

 細菌放射というのがある。これは伝染病の黴菌などをつめた爆弾を飛行機から投下するのである。あるいはチフスやコレラ菌を飲用水に投げ込んだり、ペスト菌を敵地に散布したり、兵器を連鎖菌・球菌・炭疽菌・鼻疽菌によって塗ったり、弾丸に入れて発射したりする方法がある。

 細菌を兵器として使用することは実用としてはむずかしいが、飛行機による細菌投下機がフランスで発明されたということである。しかし、予防法が発達している現在では今まで知られていない目新しい伝染病の細菌で奇襲することがあるかも知れぬ。もちろん、敵の国内に細菌を撒布して国民を病死させるものすごい戦法が行われぬとも限らぬ。あるいは軍用動物の軍用犬、伝書鳩に対する伝染病を蔓延させてその被害を与えようとすることもあるが、今後の戦争では、最近戦術はどういう風に発展していくであろうか。

竹内時男 著 『新兵器と科学戦』偕成社 昭和13年刊p.238~239
国立国会図書館デジタルコレクション

 支那事変で蒋介石が細菌戦を盛んにわが国に仕掛けていたことは初めて知ったが、この本には残念ながら具体的な記録は載っていない。そこで、「国立国会図書館デジタルコレクション」で細菌戦の具体的記述のある本を探していると、引間功 著『戦時防諜と秘密戦の全貌』という本が見つかった。この本はGHQ焚書ではないが、出版年が康徳九年とあるので、1942年に満州国で出版された本であることが分かる。

 この本によると、細菌が初めて戦争で用いられたのは第一次世界大戦の末期であり、ドイツ軍がチフス菌を飛行機から投下したり、コレラ菌を川や井戸、水槽、食糧貯蔵庫を汚染させたりしたが、第一次大戦終戦後に世界最大規模で細菌戦術を研究したのはソ連であり、ウラジオストックやハバロフスク付近には「十何万人の学者、研究員を要する一大研究所があり、しかも細菌は赤軍の戦略戦術中に取り入れられている」と書かれている。

 その後、毒ガス兵器の使用も、細菌兵器の使用も、人道上許しがたいとして、1932年のジュネーブの軍縮会議で使用禁止の協定が成立したのだが、その協定は無視されたという。

この本にはシナでの細菌兵器の利用についてこう記している。

 シナ軍は昭和十二年(1937年)の夏、上海を突破した皇軍が長駆南京に進撃した当時、寶山城付近の井戸の中にコレラ菌を撒布した。また同年冬には嘉定付近で敵を急追中の皇軍勇士が、クリークを流れる濃厚な炭疽菌の充満したガラス瓶を発見した。なお九江でも井戸の中へコレラ菌を撒布して退却したため、突然コレラが発生したなど、今なお耳新しい事例である。

 なお今次事変突発当初満州はもちろん内地に於いても、九州の某市をはじめ各都市に於いてこの種事件の発生を見たのであった。しかしてこれらの細菌戦術の手法に就いて観察すると、ソ連の細菌戦術に酷似していることに注目すべきものがある。

 狭い範囲ではなく、極めて広く大都市の住民に対しておこなわれたなら、果たしていかなる結果になろうか――

 帰するところ人命の損傷と、人的活動の停止、人的労力および物資との非生産的な浪費はもちろん、極端なる人心の不安、委縮は必然的結果となることは明らかである。

 こうした経験は昨年及び本年に於いて、国都新京*に発生せるペスト禍により、五十有余万の市民は痛切に身をもって経験しているところである。

 すなわち臨戦下に於いて、国民間にこれら伝染病の発生猖獗の如きことありとせば、時局重大の折であるほど、国力発揮遂行上重大なる影響を齎すことになる。こうした観点から、将来戦に於ける細菌謀略こそ絶対的地位を占めていることはあらゆる角度から認むべき重大問題である。

 なお細菌謀略の目標となり易いのは、戦時及び平時に於いて各地に駐屯する兵団である。特に移動兵団は極めて目標とされやすい対象である。これらは軍が直接防止すべきものであるかの如く考える者ありとせば、まことに認識の浅い者である。殊に兵団は直接の戦闘員であるとともに悉く壮年者をもって構成せられている関係上、その損耗は直接戦闘力ひいては国力上大なる影響を来たすことに留意すべきである。

*新京(しんきょう):満洲国の首都。現在の中華人民共和国吉林省の長春市。

引間功 著 『戦時防諜と秘密戦の全貌』大同印書館 康徳9年刊 p.167~172
国立国会図書館デジタルコレクション

 戦後は、「細菌戦」というとわが国の731部隊の方が有名になってしまったが、アメリカが持ち帰った同部隊の10万枚の機密文書は公開されており、731部隊が人体実験を行ったり細菌戦を行った証拠はそこには存在していないという。731部隊が人体実験をしていた証拠として良く用いられてい写真は、済南事件の写真が使われていたことも今では明らかになっている。

1937年12月20日、陥落後の南京市内で日本軍の兵隊と玩具で遊ぶシナの子供達:『アサヒグラフ』1938年1月119日号掲載

 南京大虐殺も通州事件の写真などが良く用いられてきたのだが、南京陥落直後に撮影された写真は多数残されていて、これらを見たら誰でもこの写真の撮影時期に大虐殺があったとする歴史記述に疑問を覚えることになるだろう。「南京大虐殺」のウソについては、旧ブログに書いた記事を参考にしていただきたい。

「南京大虐殺」の真実を追う~~中国排日8
前回まで3回にわたり、米人ジャーナリストのフレデリック・ヴィンセント・ウィリアムズ”が著した”Behind the News in China” (邦訳『中国の戦争宣伝の内幕』)の内容の一部を紹介してきた。この著書は1938年11月にアメリ...

 蒋介石が行った悪事は、戦後のわが国ではほとんど封印されてしまっている現状にあるが、その事例として蒋介石軍が黄河を決壊させて「日本人の仕業」とのデマを世界に流した「黄河決壊事件」について、旧ブログで書いたが、なぜこのような史実が教科書などに採り上げられないのかと思う。

「黄河決壊事件」の大惨事が教科書に記述されないのはなぜか
前回の記事でルーズベルト米大統領が、蒋介石の中国を連合国陣営に戦略的に残したことを書いた。以前にも蒋介石に関する記事は「中国排日」シリーズで何度か書いたが、この男がどういう人物であったかを知るうえで欠かせない事件の顛末を書き記しておきたい。...

 今回の新型コロナウィルス感染の件で、多くの方が某国の主張のおかしさ、わが国のマスコミの主張のおかしさに気が付かれた方が多いのではないだろうか。彼らが声高に主張する内容については、これからは鵜呑みにすることなく、自分で確認されることをお勧めしたい。特に彼らが主張する歴史は「反日国にとって都合の良い歴史」であり、要注意である。

 下記のリストはGHQ焚書のうち、タイトルに「科学」「化学」「毒(ガス)」「技術」を含む78点を集めたもので、うち24点が「国立国会図書館デジタルコレクション」で読むことが可能である。

 GHQ焚書には、戦後の日本人には知らされて来なかった真実が書かれている確率が高く、もしタイトルや著者に興味のあるものがあれば、覗いていただくことをお勧めしたい。

タイトル著者・編者出版社国立国会図書館デジタルコレクションURL出版年
海軍技術戦士小池藤五郎山海堂出版部
海戦の科学匝瑳胤次 啓徳社出版部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460387昭和18
化学戦と国際法山下康雄 東都書籍https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1459307昭和18
科学技術の新体制宮本武之輔 編中央公論社
科学制覇の道加藤与五郎畝傍書房
化学戦兵器西沢勇志智三省堂
科学的皇道世界観大槻憲二東京精神分析学
研究
科学的精神と全体主義秋沢修二 白揚社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1461761昭和15
科学と国防 第一輯酒井俊治 編国防研究会
科学と民族浦本淅潮 人文書院https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1227908昭和12
科学の新体制日本技術協会新紀元社
科学の精兵少年砲兵平櫛 孝文憲堂
化学兵器写真帖 
1934年版
陸軍科学研究所審美書院
艦船の科学伊藤科学研究所 編宝雲舎https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1903832昭和19
機械化国防と科学教育長谷川正道 玉川学園出版部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1062722昭和17
技術者養成用徳性涵養
巻一
戸田貞三文学社
近代科学戦松平道夫 日本公論社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1440706昭和15
近代戦と国防技術ハウゼル 編 八元社
国を守る科学浅田常三郎高山書院
軍事科学概論R.G.I社会経済部 編 山田俊一郎 訳南北書院
決戦下の技術と生産田部 聖実業之日本社
興亜科学教育吉田 弘目黒書店
航空戦の技術新谷春水 改造社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460418昭和17
航空の科学金藤正治山海堂出版部
皇国民の科学的錬成国民教育研究会 編明治図書https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460830昭和18
孝道の科学的研究広池千九郎 広池千英https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1241745昭和4
国体科学研究第1巻里見岸雄錦正社
国防技術多田礼吉 編白揚社
国民防空科学西崎荘 高志書房https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460433昭和18
国民防毒読本:
備へよ空襲
野口啓助 編大日本国防
化学研究会
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1462191昭和13
産業技術動員資源整備調査局 編資源整備調査局https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1258863昭和10
思想戦と科学荒木俊馬新太陽社
銃器の科学銅金義一山海堂出版部
少年科学潜水艦福田一郎津田操
少年団と国防技術訓練大内昌雄南光書院
将来戦と科学新兵器多田礼吉 新東亜協会https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1060071昭和17
職場の科学者綜合経済研究所 綜合経済研究所https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1458893昭和17
新体制国民講座 第9輯
科学篇
樋口正徳 編朝日新聞社
新兵器と科学戦竹内時男 偕成社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1169582昭和13
新兵器の驚異と科学戦原 圭三博文館
精神科学研究所の凶逆性水野正次 国民評論社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1439413昭和18
精神科学 皇化の哲理広島高等師範学校
精神科学会 編
目黒書店
戦時下の我が化学工業野田経済研究所編野田経済研究所
戦争科学百話秋山龍夫新興亜社
戦争と科学松平道雄 日本公論社
戦争の科学的研究布川静淵 大都書房https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1062785昭和16
宣伝技術報道技術研究会編生活社
戦力増強と化学工業山本 茂日本経国社
壮丁兵器科学読本佐々木一雄 若櫻書房
総力戦と科学冨塚 清大日本出版
空を護る科学浅田常三郎 朝日新聞社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1460419昭和18
大東亜化学工業論山本 茂国際日本協会
通俗商品学 :  皮革、
ゴム、木材、化学製品
大阪毎日新聞社 編大阪毎日新聞社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1271515昭和14
ドイツに於ける
工業原料自給の科学
ヴィルヘルム・ユンゲルマン,
ヘルベルト・フラフト
経済図書
独逸の少年航空技術兵エルウイン・クラウゼ航空時代社
東亜技術体制論松前重義科学主義工業社
道徳科学および最高道徳の
実質並に内容の概略
廣地千英道徳科学研究所
道徳科学講習会テキスト廣地千英廣地千英
道徳科学の論文. 第5冊
 (第十四章)
広池千九郎 述道徳科学研究所https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1107771昭和13
毒瓦斯化学林 茂助共立出版
毒瓦斯化学林 茂助共立出版
毒ガス弾、焼夷弾堀口 博龍吟社
毒瓦斯と焼夷弾清水辰太 非凡閣https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1060099昭和18
ナチスの科学政策深尾重光アルス
ナチ政治と我が科学技術森川覚三 岡倉書房
南方科学紀行多田礼吉科学主義工業社
南方の生活科学南方生活研究会編読売新聞社
南洋を科学する藤永文治郎理化書院
日本国家科学大系 
第14巻
孫田秀春 編実業之日本社
日本精神と科学精神蓑田胸喜 編原理日本社
防空化学奥田久司河合商店
防空科学の常識若杉吉五郎
河崎文珠次郎
高山書院
防諜科学不明モダン日本社
水戸魂の科学性有馬秀雄霞が関出版
民族科学の本義池見 猛東亞出版社
民族の科学杉田直樹 三州閣https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1451332昭和17
陸軍少年技術兵陸軍兵器学校 編日本報道社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1168577昭和19
列国科学技術の戦力化後藤正夫大日本出版
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 ブログ活動10年目の節目に当たり、前ブログ(『しばやんの日々』)で書き溜めてきたテーマをもとに、2019年4月に初めての著書である『大航海時代にわが国が西洋の植民地にならなかったのはなぜか』を出版しています。
 通説ではほとんど無視されていますが、キリスト教伝来以降ポルトガルやスペインがわが国を植民地にする意志を持っていたことは当時の記録を読めば明らかです。キリスト教が広められるとともに多くの寺や神社が破壊され、多くの日本人が海外に奴隷に売られ、長崎などの日本の領土がイエズス会などに奪われていったのですが、当時の為政者たちはいかにして西洋の侵略からわが国を守ろうとしたのかという視点で、鉄砲伝来から鎖国に至るまでの約100年の歴史をまとめた内容になっています。
 読んで頂ければ通説が何を隠そうとしているのかがお分かりになると思います。興味のある方は是非ご一読ください。

無名の著者ゆえ一般の書店で店頭にはあまり置かれていませんが、お取り寄せは全国どこの書店でも可能です。もちろんネットでも購入ができます。
電子書籍もKindle、楽天Koboより販売しています。

内容の詳細や書評などは次の記事をご参照ください。

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