GHQが焚書処分した写真集など~~『日支事変写真帖』

GHQ焚書

 GHQが焚書処分して、戦後の日本人に読めないようにした本の中には「…写真集」「…写真帖」「…写真帳」といったタイトルの本が少なからずある。大半の本は殆んどのページが写真ばかりで、写真の横に数行程度の説明がある程度のものなのだが、なぜこんな本をGHQが焚書にしたのかと考えてしまう。

『輝く海軍写真帖』省文社 昭和9年刊 コマ番号15/171

 写真掲載のあとで詳しい解説が書かれている本もいくつかある。昭和六年に出版された『日支事変写真帖』の「日支事変とその深因」は読むとなかなか面白い。「日支事変」は「支那事変」を指すことが多いのだが、この本では「満州事変」のわかりやすい概略が書かれている。その解説の中で中国(シナ)人の国民性に述べているところがあり、今でも参考になる文章だと思うので紹介したい。

 人間の性状はその体格に於いて相似ているが如く相似ているのが原則であるが、今日の如く各国民の性質 ― 国民性 ― が相異なっているのは、長い年月の間、互いに異なった環境に置かれていたがためである。国民性を形成する最大の要素は、政治と気候・風土・食物等の関係である

 長い長い間というもの、圧迫・苛政にさいなまされて来たシナの国民は、いわゆる膏肓に入った嘘つきの習慣が養成された。嘘は要するに弱者の武器である。悪い政治の反証である。また島国に生まれた吾人の想像だも及ばぬ茫漠たる大陸は、その人民をヌーボー式にするとともに、限りなき天変地妖、絶えざる人為的動乱は彼らをして宿命論者にしてしまった。同時に南北による気候・風土の差異は、南北人の思想なり性質なりの上に著しき変化を与えているが、それは畢竟シナ不統一の一大原因をなしている。その肉食の習慣の如きも、彼らの性質に大なる影響を与え、同種同文の主として菜食なるわが日本人よりも、むしろ異種異文の肉食なる欧米人に似ている点がかえって少なくない、

 こうしたシナ四千年の歴史とシナの国土が今日のシナ人を生んだのである。もとよりこの国民性もその環境が変わることとによって多少は変化すべき筈であるが、一朝一夕にしてそこに変化を見ることは、当然的に不可能である。否、その環境がかえってその国民性によって変化される。その革命の如きも、常に国民性に同化されてしまうことは、吾人の良く知っている通りである。シナの政治も外交も経済も社会も、すべてその国民性によって、いわゆるシナ的色彩を濃厚に有している。この支那の国民性を知らずしてシナを論じようとすることは、いはば猿猴(えんこう)の月影を捕え*ようとするの愚である。

*猿猴の月影を捕え:猿が水中に映った月を取ろうとして溺死したという故事

 シナの時局をじっと眺めていると、実にカメレオンの色のように面白いまでに変わっていく。国民革命軍が北伐の途にのぼって僅か二か年の間に、日本の三十倍もあるシナの大国は隅から隅まで青天白日旗が翻ってしまう。だが、これをもってシナ全土が革命軍を歓迎したと早合点してはいけない。あるシナ人の如きは、清朝の黄龍旗、民国の五色旗、国民革命軍の青天白日旗、それに日・英・米の旗までも用意して、随時にそれを掲げる。あたかも東風でも西風でもその吹く方になびく草のようなものである。革命も同断で、国民革命が起これば、昨日までの軍閥は、争って青天白日旗を掲げて三民主義を唱えるが、台風一過すれば、また依然として軍閥の特色を発揮する。事態かくの如きだから、シナの革命は実に不徹底である。それはともあれ、シナ人の変通性、妥協性は実に妙奥を極めているもので、その間にほとんど斧鉞(ふえつ:おのとまさかり)の跡をとどめない。

 シナの若い革命家は、いかにも悲憤慷慨の志士であるが、一旦政権にありつくと、直ちに堕落し、その排撃した政治家と同様になってしまう。国民革命化の大将蒋介石の如きは、上海商人から搾取した私財数千万元があると言われている。しかもシナ人はこれを別に問題にせず、彼の如き地位になればそのくらいの金もうけは当然だと澄ましている。この有様に憤慨して新しい革命を計画している若い連中もあるが、彼らもその位置につけば、蒋同様となるであろうから世話はない。早い話が、シナでは政治は一種の商売である。官吏が私腹を肥やすのは、その位置を職業化するからである。労働運動でも排日運動でも、すべて一種の職業である。決して主義主張のもとに行うのではない。示威運動の行列賃が五十銭、演説が一回一円から五十銭まで、女学生のそれは効果的だとあって一円とあるから、驚かざるを得ない。

『日支事変写真帖 : 附録付』白星社 昭和6年刊 p.12~14
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 こんな調子で、面白い話がまだまだ続くのだが、シナでは「ざっくばらんで正直な人を『好人(ハオレン)』といって、いわばお人好しと言って軽蔑するに反し、えたいの知れぬ、いわゆる食えない人をば『不好人(プハオレン)』といって、悪人というよりも、偉いという一種の敬意をもって呼んでいる(p.14)」とある。わが国の政財界や官僚に数多く存在する「親中派」の大半は、中国人から馬鹿にされながら利用され、本心では軽蔑されている存在であるのではないだろうか。

 我々の先人が何度も失敗し、苦労してまとめ上げたシナ人の国民性に関する知識が、戦後の長い間にすっかり忘れ去られてしまったことは残念なことである。今の政治家や官僚や財界人がこういうシナ人の国民性について熟知していたなら、もう少しまともな外交が出来たのではないかと思う。

 以下のリストはGHQ焚書の内、本のタイトルに「写真」を含む44点の書物のリストだが、うち19点が「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されている。

タイトル著者・編者出版社国立国会図書館デジタルコレクションURL出版年
化学兵器写真帖 1934年版陸軍科学研究所審美書院
輝く海軍写真帖国防智識普及会編省文社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464110昭和9
北支那踏査記念写真帖赤堀正平 編学徒至誠会
軍艦写真帖海軍協会 編纂海軍協会https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1112134昭和2
皇軍連隊旗写真皇徳奉賛会
高輪分会 編
皇徳奉賛会
高輪分会
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1464283昭和7
皇軍連隊旗写真帖皇徳奉賛会
高輪分会 編
皇徳奉賛会
高輪分会
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1458392昭和11
御大典記念写真帖信田孝善 編東京自動車組合
支那事変記念写真帳水野信之 編大洋社
支那事変郷土部隊写真史渡辺春也 編福島民報社
支那事変写真帖東光社 編東光社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1112119昭和13
支那事変従軍記念写真帖村川貞一 編村川貞一
支那事変聖戦写真史玉井清五郎 編忠勇社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1112235昭和13
支那事変臨時派遣軍
記念写真帖
斎藤悦三 編中国新聞社
支那大事変写真帖山崎昌男日東社
従軍写真記録集 北島小柳次一東亞文化書房
昭和十年陸軍大演習
記念写真帖
亀田 正 編正侠社
昭和10年陸軍特別大演習
並地方行幸記念写真帖
宮崎県宮崎県
昭和十一年陸軍特別大演習
並地方行幸記念写真帖
北海道庁 編昭和十一年陸軍
特別大演習並
地方行幸記念
写真帖頒布所
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1441087昭和13
昭和十一年十月陸軍特別大演習
並に御親閲拝受記念写真帖
川崎文雄 編東億日報社
大東亜戦争写真史大観田口章太 編明治天皇
聖徳奉賛会
大日本陸軍写真大観明治天皇御写真帖
刊行会 編纂
明治天皇
御写真帖刊行会
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1458480昭和9
大満州国建国記念写真帖山崎鋆一郎 編大満州国建国
記念写真刊行部
天皇陛下北海道大演習
行幸記念写真帖
渡邊 恭 編聯合写真通信社
謎の要塞写真海野十三ラジオ科学社
日支事変写真帖加島謙次白星社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1191588昭和6
日支事変写真帳前編齊藤与次郎 編明治天皇
聖徳奉賛会
非常時国防写真大観軍事教育研究会編聚文館https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452411昭和9
兵隊の撮った戦線写真報告朝日新聞社会部編朝日新聞社
報道写真集海軍兵学校真継不二夫番町書房
満州国踏査記念写真帖久保勘三郎 編至誠会本部
満州事変衛生勤務記念写真帖青木袈裟美 編陸軍省医務局内
陸軍軍医団
満州事変写真帖佐野佑一 編大日本
軍事教育会
満州事変写真集樋山光四郎 編偕行社
満州踏査記念写真帖赤堀正平 編学徒至誠会
満蒙事変大写真帖軍事普及会 [編]軍事普及会https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1025885昭和6
陸海軍国防大写真帖国防普及会 編国防普及会https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452960昭和10
陸軍写真帖陸軍省
つはもの編輯部編
軍人会館出版部https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452918昭和10
陸軍全兵器写真集小林 勇 編鉄塔書院 編https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452952昭和6
陸軍大写真帖国防智識普及会編省文社https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452956昭和8
陸軍大写真帖国防智識普及会編省文社昭和4
陸軍特別大演習並
足利市御臨幸記念写真帖
岡部新二郎 編足利日報社
陸軍特別大演習
並地方行幸記念写真帖
群馬県 編群馬県https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1465529昭和10
陸軍特別大演習行幸御写真帖大阪府嘱託
謹写員 編
大阪府嘱託
謹写班事務所
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1449406昭和7
陸軍特別大演習記念写真帖福井県 [編]福井県https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1452958昭和9
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 ブログ活動10年目の節目に当たり、前ブログ(『しばやんの日々』)で書き溜めてきたテーマをもとに、2019年4月に初めての著書である『大航海時代にわが国が西洋の植民地にならなかったのはなぜか』を出版しています。
 通説ではほとんど無視されていますが、キリスト教伝来以降ポルトガルやスペインがわが国を植民地にする意志を持っていたことは当時の記録を読めば明らかです。キリスト教が広められるとともに多くの寺や神社が破壊され、多くの日本人が海外に奴隷に売られ、長崎などの日本の領土がイエズス会などに奪われていったのですが、当時の為政者たちはいかにして西洋の侵略からわが国を守ろうとしたのかという視点で、鉄砲伝来から鎖国に至るまでの約100年の歴史をまとめた内容になっています。
 読んで頂ければ通説が何を隠そうとしているのかがお分かりになると思います。興味のある方は是非ご一読ください。

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