引き続き「神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫」からユダヤ人問題に関する記事をいくつか紹介してみたい。
国際連盟脱退の背後にユダヤ人の組織が動いていたのか
最初に紹介したいのは、昭和8年2月23日の国民新聞の記事である。
日本脱退を遂に決意せしめた国際連盟の背後に躍るユダヤ系の魔の手とは! 二十一日の貴族院秘密会で赤池濃(あかいけ あつし)氏から発した質問から、はしなくも今度の国際連盟が日本や満洲の熱烈なる渇望を無残にも蹂躙(じゅうりん)したばかりでなく、遂に世界的孤立に陥らすに至った裏面には、ユダヤ人の奇怪なる陰謀のあった事が白日の下に暴露されたが、果してこのユダヤ人の陰謀とはどんな内容を持っているのであろうか?
このユダヤ人の運動とは世界的秘密結社フリー・メーソンが団体として連盟に暗躍している意味ではあるが、このフリー・メーソンなるものについては日本でも十年前からそれは実在である、否そんな秘密結社はないと相当論議されて来たものであるが、二十一日貴族院秘密会に於ての内田外相の答弁中にはこのユダヤ人の暗躍を肯定している点もあり、したがってその秘密結社も肯定されるわけなので、この問題は俄然センセーションを起したのである。
しかし連盟中のユダヤ人陰謀に関しては外務省へ何等の情報も入っておらず、また省としてこのユダヤ人運動に関して調査もしていない。しかし今回の貴族院の質問を契機として省内でこれを調査するに至るだろうと予想される。では、このフリー・メーソンと連盟とはどんな関係であるか、日本に於けるユダヤ人研究家四王天中将等の調査したところによると一九一七年九月二十八、九、三十日の三日にわたってフリー・メーソン会員はバリーのカテイ街一六グラントリエンに集合して国際連盟の建設について協議したが、同会機関誌ルヴュー・ジュイーヴには次のように書かれてある
「指導精神から考えて連盟はユダヤの運動に深い関係を持っている」
「我々ユダヤ人は連盟の最初の具体的提案者であった」
「連盟はユダヤ民族に世界的放浪生活をさせている根本原因を政治的に解決するものである」以上の幾項の文句から見てユダヤ人は連盟と深い因縁があるものと見られて居り、連盟内に公然とメンバーとして列席しているものと認められる者には、事務総長ドラモンド氏をはじめ事務次長アブール氏、チェッコ代表ベネシュ、スペイン代表マダリヤガ情報部長コムメン、支那代表ウェリントン、顧氏等で、連盟外では支那衛生顧問ライヒマン、リットン調査団書記長ハース等で、この人達はフリー・メーソンの指令の下に連盟内外で盛んに暗躍し、事毎に支那を助け日本に対抗したというのである。
この指令は常にジュネーヴ、パリ、ベルリン等の欧洲大陸都会を移動しつつ陰謀を練る結社本部で作成され、これを共産党以上の巧妙なる連絡を以てそれからそれへと伝達するもので、その中には貴婦人あり令嬢あり、バーの女、ダンサー、タイピストなどあらゆる方面階級を網羅し、用意周到に事が運ばれる、そして政治的の陰謀ばかりでなく、諸国代表の機密を盗むためには美人スパイを活用し、エロ手段で暗号電信、秘密外交文書、その他重要書類を盗んだり、他国外交官を籠絡してメンバーに引き入れたりする、この毒牙にかかって失敗した外交官も相当あったという程である
昭和8年2月23日 国民新聞 所蔵:神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫
わが国が正式に国際連盟を脱退したのは昭和8年の3月27日だが、2月24日の連盟総会でリットン報告書が採択され、日本全権松岡洋右がこれに抗議して退場している。国連でこのような採択がなされた背景にはユダヤ人秘密結社が動いていたとの質問が貴族院でなされ、外相はその事実を認めて大騒ぎとなったという。
貴族院の秘密会で質問した赤池濃(あかいけ あつし)は内務局長、警務局長などを歴任した人物だが、貴族院の議事録はネットでは公開されていないのか見つけることができなかった。しかし、フリーメーソンの支部が存在した神戸の地元紙・神戸又新日報にこんな記事が出ている。
この記事によると、フリーメーソンの支部はわが国では神戸、横浜、函館、長崎にあり、赤池氏の質問の後で中山手通二丁目48のクラブで秘密の会議が行われたことが報道されている。また貴族院の議事についても、次のように報じている。
内田外相も「外交上公然とこれらユダヤ系の運動を阻止することは出来なかった」と彼らの陰謀的なるを認め、さらに「赤池氏—フリー・メーソン結社は日本が連盟脱退後さらにわが国の経済上、社会上に対し兇悪なる魔手を伸ばし圧迫を加え来るであろうという懸念のあるフリー・メーソンに対し当局の取締りは外相の「目下のところ何らこれに対する具体的対策はない」と言った通り、全く従来は顧みられていなかったのである。
「フリーメーソン神戸支部ゆうべ秘密の家に会合」昭和8年2月24日 神戸又新日報 新聞記事文庫 人種問題(2-075)
しかしながら、新聞社が秘密結社の国内の工作活動について確実な証拠をつかんでいるわけではなく、記者はこの日の会合に出席したW.ジェームスからは「我々の会は陰謀をたくらむものではない」とかわされてしまっている。
フリーメーソンの正体
にもかかわらず同紙は、このような解説記事を同日に掲載している。この記事によると、フリーメーソンは、職業、党派、国籍、宗教を超越して、全世界をユダヤ人によって支配せんとする秘密結社であるとしている。
そして、結社についてこう解説している。
ユダヤ人なくば、如何なる幸福も々たる太陽の光線も風雲もなく人類は到底生存し得ない。非ユダヤ人の善事慈善はこれを罪と認め呪うべし、非ユダヤ人の所有物はわれらの紛失したるものにしてわれらは先ずこれを所有せざるべからず、非ユダヤ人の生命はわれらの掌中にあり、特に彼等の黄金はわれらの所有物なり等を奉じて、そのユダヤ人の世界を建設のためにフリー・メーソンは全世界の弱き国、不平をもつ国などを煽動し擾乱を起さんとするものである。
日露戦争当時、ユダヤ人にして米国財界の巨頭シフが日本を援助したのは、ロシア帝政顚覆の敵本主義にあったことはすでにユダヤ人研究家の指摘しているところである。一八六〇年ジョン・レードクリフ博士が果敢にも摘発したプラーグの演説は彼らの意図を最も端的に観取することが出来る、曰く
一、全世界の黄金を所有しその権利を握ること
昭和8年2月24日 神戸又新日報 所蔵:神戸大学経済経営研究所 新聞記事文庫
一、すべての出版業を占有すること
一、破壊の観念の接種
一、非ユダヤ人の国際を擁護
一、ユダヤ人はあらゆる国のあらあらゆる官職につき支配権を握り立法者たらんとす
一、あらゆる不平革命の援助
大陸国家では異教徒に寛容な宗教を奉じていてはその民族は生き残ることができなかったのだが、ユダヤ教徒は、国を持たないまま世界支配を狙い続けてきたのである。そして、国際連盟の主要なメンバーには、ユダヤ人が多かったことは事実である。国際連盟とフリー・メーソンとの関係について、同紙にはこう解説されている。
パリのフリー・メーソンの機関誌に、「指導精神から考えて連盟はユダヤの運動に深い関係を持っており、われわれユダヤ人は連盟の最初の具体的提案者で、連盟はユダヤ民族に世界的放浪生活をさせている根本原因を政治的に解決するものである」と書かれてある。しかも連盟内に前記のごとくフリー・メーソンのメンバーが重要な地位を占め、連盟と極めて深い関係にあるとすれば、今回の日本が連盟の無視に対し脱退の余儀なきに至った裏面に、フリー・メーソンの信奉するプロトコールのうちの「弱小国不平国を援助し」世界攪乱の過程に導びかんとするものであると見るのは単にユダヤ禍恐慌病者のみではなかろう。
会員は全世界にその数百万を算し、それらが着々世界の支配的地位にある有力なるメンバーからの指令によって世界征服の陰謀が続けられているといわれている、その指令本部の内幕、連絡方法等にいたっては、実に各国政府の弾圧に屈せず世界赤化を目指して運動をつづけている共産党以上の巧妙さで、各方面に美人スパイを放ち各国の非ユダヤ人の政治家、外交官などを籠落し重要文書を盗ませたりしているといわれている。
フリー・メーソンのような秘密結社の文書は公開されることがないので、世界を攪乱させてきた決定的な証拠があるわけではない。しかしながら彼らの聖典である「シオンの議定書」はユダヤ人が世界を征服しようとするものと理解されるようになり、実際に多くのテロ事件などが世界各地で相次いで起こったことから、当時の世界においてはユダヤ人がその目的のために様々な工作活動を行っていると警戒されていて、わが国の新聞にもその旨報道されていたことは知るべきだと思う。
ユダヤ人秘密結社に関する新聞記事の例
内容の詳しい紹介は省略するが、この時期にこんな記事が掲載されている。
・「世界の謎フリー・メーソンとは何! 」昭和8年3月17日 神戸又新日報 新聞記事文庫 人種問題(2-079)
フリー・メーソンは全世界をユダヤ人の手で統一する野望を持ち、会員は世界で二百三十万人といわれる。彼らの聖典である「シオンの議定書」には、ユダヤ人の世界征服陰謀計画が記されている。この記事は、同社が入手したロシア語で彼らの活動状態を記した秘密文書「仮面を取れ」という書物の翻訳である。
・「灯台社の後楯に恐るべき暗殺団」昭和8年5月24日 大阪時事新報 新聞記事文庫 思想問題(7-099)
ニューヨークに本部のある灯台社はフリー・メーソンと連絡をとる結社で、十八世紀以降二十数名の君主帝王を暗殺してきた。1897年のシオン会議で世界各国の赤化を計画し、「シオン議定書」を作成した。世界に三百の支部を有し、極東支部は神戸にあった。
・「美しき仮面こそ恐るべき人類の敵大暗殺団」昭和8年5月25日 神戸新聞 思想問題(7-117)
灯台社はフリー・メーソンの宗教布教を担当し、「世界の財物は全部ユダヤ民族のもので他の民族の所有は我れわれの紛失したものであるから如何なる方法によってもこれを没収しなければならぬというのが中心思想で、その実行の第一として世界の黄金を獲得、第二に言論機関を統制し進んで各国を無政府状態に陥れんと企図」している。神戸市内から機関雑誌を配布し、活動は西宮市。
・「地球をめぐる妖光灯台社の全貌」昭和8年5月26日 大阪時事新報 思想問題(7-102)
灯台社日本支部は東京都杉並区荻窪に在り、宣伝資金はアメリカから宣伝文書とともに送られている。日本のメンバーは殆んど検挙され、残るは主幹一名。
【ご参考】
・ユダヤ人問題に関する復刊書籍
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