ユダヤ人の陰謀とタイの華僑 外務省編纂『国際事情:世界の動き 』(GHQ焚書)を読む2

ユダヤ人中国関連

ユダヤ人の陰謀

 前回記事でナチスのユダヤ人観について書いたが、例えばロシア革命は少数のユダヤ人が起こしたことも『国際事情:世界の動き (昭和十四年版)』(GHQ焚書)で触れられている。
 国を持たず軍隊を持たないユダヤ人が何故国を転覆させることが出来るのかという疑問を持つ人が多いと思うのだが、彼らはターゲットとした国を弱体化させ亡ぼすために、さまざまな工作を仕掛けて国内対立を生んで内乱を起こさせたり、それが難しい場合は世界から孤立するように工作を仕掛け、戦争に巻き込ませて疲弊させるのだが、第一次世界大戦のあとのドイツはユダヤから様々な工作が掛けられていることを認識していた。

外務省情報部編『国際事情:世界の動き (昭和十四年版)』p.146-147

 戦後のわが国ではナチスがユダヤ人を迫害したことばかり知らされてきたのだが、ユダヤ人がドイツに何をしてきたかについてはほとんど学ぶ機会がなかった。しかしながら、そういうことを知らなければ何故ナチスが徹底的にユダヤ人を排除しようとしたかが見えてこないと思う。本書にはドイツがユダヤ人の何を怖れていたかについて次のように記されているのだが、戦前では外務省の編纂した書籍に「ユダヤ人の陰謀」という文字が登場していたことを知るべきである。

ナチスが最も警戒してゐるところはユダヤ人の共産主義である
 ヒトラー総統及びナチスの一派によれば、ユダヤ人は共産党であり、共産党はユダヤ人であって、ユダヤ人と共産党との区別がない。しかして共産主義もまた畢竟ユダヤ人の創作である。ナチスはいう、共産主義は経済の学説でなく、各国境を打破して民族の差別を撤し、そこに少数者の覇権を打ち建てんとするユダヤ人の陰謀に他ならぬと

 かくて地上に起る総ての内乱と国際的紛争とはことごとくユダヤ人の陰謀である。世界大戦後、英国は日英同盟を廃棄した。 これは英国が米国の意を迎えるためであったと言われるが、 ナチスはその上これを日本の国家を破壊せんとするユダヤ人の陰謀だったという。
 ドイツの敗北は食糧の欠乏と、ノースクリッフを指導者とする連合国の新聞宣伝のためであったと言われるが、ナチスはその上、ドイツの敗北はユダヤ人の陰謀であったという
 一九三五年以来東西到るところ共産党の騷擾が続発して止むところを知らない。一九三五年八月フランスのブレスト、ツーロンに共産党の暴動があり、多数の死者を出した。これもユダヤ人の煽動によるものである。一九三六年四月レーンベルグに騷擾があり、一九三六年十月サロニキに暴動があって百名以上の死者を出した。これも世界の攪乱を目的とするユダヤ人の使嗾に出たものである。 一九三五年、 三六年にかけて南米ベルナンプコ、 ブエノスアイレスに共產党の騷擾があった。これもユダヤ人の所爲である。

 しかしてそのもっとも大なるものは一九三六年に端を発し、 今日なお終末を見ざるスペインの內乱であって、 これもユダヤ人の悪戯である。支那共産党の暴戾振りに至っては今更言うを待たぬ。しかしてこれまたモスクワ、ユダヤ人の入れ智慧に依ること明かである。
 かくていたるところに勃発する共産党の暴動にユダヤ人の関係せざるものは一つもないのであって、ナチスがユダヤ人及び共產党を以てひとりドイツの敵たるにとどまらず、各国民共同の敵なりとなし、日本及びイタリアと結んで共産主義に対し共同の戦線を張る必要ありとなす所以もここにある
外務省情報部編『国際事情:世界の動き (昭和十四年版)』p.146-147

 共産主義に洗脳された人物は自国を愛することなく、自国の政権を崩壊させることに進んで協力することになるのでユダヤ勢力にとっては利用しない手はないのだ。ユダヤ勢力は、共産主義勢力に武器と資金援助を続けることで、ターゲットとする国を弱体化させることが可能となる。共産主義思想の始祖はユダヤ人のマルクスだが、ユダヤ人には特に共産主義者が多いと書かれている。

 ユダヤ人と共産党との関係については、いろいろの説があって帰一するところがない。
 蓋しユダヤ人はことごとく共産党ということは出来ぬが、共産党にユダヤ人の多いことは事実である。共産主義の鼻祖ともいうべきマルクスも、ユダヤ人であれば、リーブクネヒト、ルクセンブルグ、レウイがユダヤ人であり、主義者のドル箱であるパウル・ジンゲルや、シッフもまたユダヤ人である。共産主義とまで行かないまでも、又共産主義に近い社会主義又は社会運動の大立物のうちにもユダヤ人の多いことが目立つ。リカードやラサル等がそれである。
 殊にロシヤの共産主義者にはユダヤ人が多い。ロシヤでは一九〇一年から三年にかけて、共産党の陰謀件で逮捕されたものが総計七千七百九十一人に達したが、その內二千二百六十九人がユダヤ人である。ロシヤは雑多な民族があり、ユダヤ人もそのうちの一つであるが、七千七百九十一人に対する二千二百六十九人とい数字は他の民族の一に対する七で、 則ち七倍の共產党被吿を出している勘定になる。 また総被吿の二割九分一厘で、一九〇三年の三月から一九〇四年十一月迄に逮捕された犯人のうちではユダヤ人が五割三分を占めていた。これはひとりロシヤばかりでなく、多い少ないの差はあるがどこの国でもそうであって、共産党にはユダヤ人が多いのである。

 ユダヤ人に共産党の多い理由に就いては種々の異見があって帰一するところはないが、一つは環境であり、一つはユダヤ人の性質によるものとせられる。 環境というのは社会から除け者にされて、 根性がひがんでいることである。 ユダヤ人は他の民族の国を愛する気持にはならない。ドイツにいるユダヤ人はドイツの文化を享有するが、ドイツ人になってドイツを愛する気にはならぬ。またユダヤ人は奈何にも理窟っぽく、先天的に陰謀を好む悪癖がある。これらの陰性的特質が、不遇な環境と相俟ってユダヤ人を共産主義に赴かしめる所以であろうとせられる
同上書 p.148-149

 ただ今の時代は、共産主義思想を拡散して労働者に政権転覆するような思想工作は難しいと思う。時代が変わり国を弱体化させる方法は、思想工作よりも別の方法に重点が移っているのではないだろうか。金融混乱や外国人移民から食糧危機や生物兵器など様々な方法で行われるようになり、わが国にも既に仕掛けられているのではないかと思う。

タイの華僑

 話は十四章の「華僑概説」に移る。「華僑」というのは「海外にある支那人」という意味で、官吏もあれば商人や農民、労働者、学生など様々だが、当時から支那人は全世界的に散住しており、その数は少なく見ても八百万人とされ、今では五千万から六千万程度と推定されているようだ。
 華僑が急激に増加したのは十九世紀で、欧米諸国の奴隷廃止後の労働需要の高まりで契約労働者(苦力)として東南アジア、アメリカ、オーストラリア、南米などに大量に送られていき、各地で中華街を形成しながら定着していった。

『神戸大学新聞記事文庫』東南アジア諸国9-4

 かつて孫文は「華僑は革命の母」と言ったそうだが、辛亥革命の活動資金を華僑が支援したという。また日中戦争における抗日戦や、反日宣伝などにも華僑の協力があったようだ。上の画像は昭和十六年一月二十四日の国民新聞だが、タイの首都バッコックの商店の多くは華僑が経営していて店頭には反日書が並べられていることや、巨額の本国送金が行われていることが報じられている。

『地理風俗世界写真帖』明治39年刊

 現在の「タイ王国」は一九四二年(昭和十七年)の無血革命の前は、「シャム王国」と呼ばれていた。したがって『国際事情:世界の動き (昭和十四年版)』にはシャムと書かれている。その頃、シャムには全華僑の三分の一弱が集中し、シャムの人口の四分の一弱を占めていて、華僑がシャムの商業の大半を支配していたのである。

 まず、商業及び金融業に於ける華僑の地位について考察する。
 シャムの社会には、今日まで、地主としての王侯貴族と、農民との構成する封建社会に、中間層としての商人階級が、 土着のブルジョア勢力とし発生していずその間隙を外来華僑が占めている。 すなわちシャムに於ける商業の九〇%まで、 彼等華僑の手中に在るのだ。

 彼らの従事する商業は、 あらゆる方面に亙り、貿易商、 米穀商、仲買人、倉庫業、 雑貨商、小売商等に及んでいる。首都バンコクに於いて、三聘(サンペン)と稱する支那人街が、あたかも別の市街を形づくっているかの観を呈するほど、 盛大な商業を営んでいるのを見ても、 彼等の商業上の勢力が想像出来るのである。

 貿易では、輸出品の大宗たる米の輸出を華僑が独占している。
 精米業はシャムに於ける最大の、ほとんど唯一の工業だが、その八〇乃至九〇%は華僑の所有又は経営であり、大工場六十六のうちの五十六が彼等に属してる。その輸出米の大部分は、これらの精米業者がやるのである。
 貿易全体から見て、 輸出の六〇%、輸入の四〇%が華僑に依って取扱われる。支那及び香港からの年額五千万バーツ(乾魚、鹽魚、野菜、果物、茶その他の食料品)の輸入、支那及び香港への八千萬バーツの輸出(米、木材等)が、彼等の手中に在るばかりでなく、シヤム総輸入額の四分の一を占める日本からの輸入も、少なからぬ部分が華僑の取扱うところとなっている。

 そして金融業については大銀行を除き、中以下の金融は全面的に華僑の支配下であり、人口四分の一に過ぎない華僑が、経済においては商業、貿易、農民金融の中枢を掌握し、精米、製材工業に大勢力を持ち、政治的にも高級官吏の六~七割が華僑が占めていると言われていたようだ。

首都バンコックの華僑街 『世界写真地理全集 第2巻』1954刊より

 華僑が移住先でこのようにあらゆる方面で重要地位を占めている国は他にないのだそうだが、当時のタイでは華僑排斥の声が叫ばれるようになったという。では華僑がここまで勢力を伸ばした理由はどこにあり、それまでおとなしかったタイ国民が華僑排斥を訴えるようになったきっかけはどこにあるのだろうか。

 華僑がこの国に於いて異常な発展を遂げた原因としては、次のことが考えられる。
(イ)シャム国民性の伝統的特徴である寛容性
(ロ)シャム人は数理の念に乏しく、かつ仏教思想から営利を軽蔑する風があるので、商業階級を欠いていた
(ハ)支那人はシャム人と同系の人種で、シャム婦人と結婚して同化し、かつ無条約国人だったから、治外法権の擁護を受けない代わりに、活動に何の制限をも受けなかった。

 これらは、華僑発展の絶好条件で、彼等はこれを利用して、上述したような大勢力を扶植した。自国官憲の保護はないが、中華総商会の統率下に同業組合または地縁団体をつくって、統制ある活動をする。かくて彼等の活動の結果は、必然シャム人を搾取し、搾取の結果は母国への送金となる。 シャムは華僑の『造幣廠』となった。

 だが、これだけならばシャム人もそんなに憤慨しなかったかも知れぬ。忍べないのは、華僑の国民的意識の回復である。これは孫文等革命党の呼びかけの結果である。シャムへの同化を控えて、支那本国意識への還元運動となったのである。

 かつては華僑を歓迎し、感謝さえもしたシャム人だが、事ここに至っては、もはや忍ぶことが出来なくなった。敢然起って華僑排斥の風潮を起した
 その手段として選ばれたのが、第一に入国法の制定である。一九二七年に制定された時、二十バーツの入国税を徴したに過ぎなかったが、一九三一年には三十バーツになり、一九三三には百バーツになった。この百バーツは華僑の家族が、数年間の生活を支えるに足る額だというので、支那では大騷ぎとなった。一九三三年四月から半ケ年間の入国数は、この禁止的制限に依って、僅かに六千人だったといわれている。
 手段の第二としては、華僑を徹底的にシャムに同化させるために、華僑学校校長をシャム人として教師はシャム語試験合格者たるべく、一週二十一時間のシャム語教授を行わせることとした(支那語時間は四時間)。
 この二つの方法は図に中り、華僑入国数が著しく減じ、送金額も一九三四年のごときは、一九三〇年に比べて八割減じたといわれている。

 シャムはもはや華僑の天国でも、造幣廠でもなくなったように見える。本当にそうであうか? 
 しかし、シャムの側では、華僑は必ずやシャムに同化して来るものと見ているそうである。実際、華僑は、その故郷にいるよりは、シャムにいる方が、はるかに幸福なのである。シャム側の見方は必ずしも我田引水ではない。

 戦前・戦後の同化政策を経て混血も進み、第二・第三世代はほとんどタイ語を母国語としタイ名を名乗り、中国語を話せない華人(華系タイ人)が多数いるようだ。他の東南アジア系の華僑と比べると中国語や中国文化の保持が弱く、民族的アイデンティティが薄いといわれており、結果として民族間の対立はほとんどないという。しかしながら現在のタイでは政治や経済の中枢を華人が掌握しているのは昔と変わらず、歴代首相や国会議員の多くが華人だという。
 タイの総人口六千五百八十万人のうち華人は九百万~一千万人程度で、一割強の華人に国の政治経済を掌握されているわけだが、一九二七年以降支那人の入国を制限しても経済社会の中枢をタイ人が取り戻すことが出来なかったのである。しかしながらもし、この時にタイが入国制限を行わなかったら支那人はタイに同化せず、チベットやウイグルと同様に、国ごと中国に呑み込まれ、タイの文化も言語も失われていった可能性を否定できない
 華僑はよく「東洋のユダヤ人」とも呼ばれ世界各地に移住し、移住先で政治経済で強い影響力を発揮して来た。日本人はタイ人と同様に寛容で温厚な民族であるのだが、人口にして一割程度の華僑がタイに流入して以降、タイの政治や経済界の中枢を掌握され続けているという事実を日本人は知るべきだと思う。
 すでに現段階で中国は、わが国の政界、経済界、マスコミなどに対する工作活動により強い影響力を発揮しており、このまま中国人居住者が増加するのを放置してはわが国の文化や伝統、秩序ある社会が守れないだろう。外国人の永住や帰化に関する基準の厳格化と、都道府県毎、市町村ごとに受入人数上限値を決めないと地方から国が壊れていくのではないだろうか。


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