枢軸国は全部で八か国
第二次世界大戦でわが国はドイツ、イタリアとともにイギリス、アメリカ、中華民国などの連合国と戦ったのだが、前回の記事で連合国に関するGHQ焚書についてまとめたので、今回は枢軸国に関するGHQ焚書をまとめておこう。
1936年にドイツと日本が「日独防共協定」を結び、翌1937年にはイタリアを加えた「三国防共協定」が締結され、さらに1940年には「日独伊三国同盟」が締結された。その後、この三国側に加わって連合国と交戦した国々を「枢軸国」と呼ぶ。国名を調べるとと日本、ドイツ、イタリアのほかに、フィンランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、タイの五ヶ国が枢軸国となっている。
タイが枢軸国となった経緯
タイが枢軸国であったことは知らなかったので、少し調べてみた。
Wikipediaによると、「第二次世界大戦ではフランスがドイツに降伏した後の1940年11月23日、タイは南部仏印に侵攻し、タイ・フランス領インドシナ紛争を引き起こした」と記されており、まるでタイが侵略国で悪い国であるような書き方になっているが、戦後の一般的な歴史叙述には肝心なことが書かれていないことが多いので注意する必要がある。今回GHQ焚書のリストに挙げている『泰国・仏印と日本人』に詳しく書かれているが、タイは1862年以降五度にわたりフランスに領土を侵略されてきており、その失地の一部を回復するために起ちあがったというのが真実である。上の画像は1940年12月4日の大阪朝日新聞の記事だが、そこにはタイの「仏印に対する失地回復要求」としっかり記されている。侵略者に対する戦いを「侵攻」などと書くべきではないことはいうまでもないのだが、それまで世界を侵略し植民地化して来た欧米列強は、現地人らが旧領土を取り返す運動を「侵略行為」と喧伝していたことを知るべきである。そして戦後の日本人には、欧米列強が侵略行為を繰り返し、酷い統治をしていたという事実はほとんど伝えられていない。
話を元に戻そう。ドイツに降伏したフランスはアジアの植民地どころではなかった。タイはわが国の協力を得て翌1941年5月8日にフランスのヴィシー政権と平和条約を東京で締結し、ルアンブラバング地区、パクセ地区、カンボジア北部地区などの領土をフランスから奪回するのに成功した。そして12月8日に太平洋戦争が始まると日本軍はタイと協定を結んでタイに進駐し、12月11日に日・タイ攻守同盟を締結してタイは枢軸国として、マレー作戦やビルマの戦いなとで日本軍に協力する流れとなる。
枢軸国関連のGHQ焚書に関する過去記事(日・独を除く)
今までイタリアやタイなど枢軸国に関するGHQ焚書につていくつかの記事を書いてきたが、それらの記事をブログカード化してみた。ドイツに関するGHQ焚書についは少し前にリスト化した際の記事だけをブログカードに追加させていただいた。
枢軸国関連のGHQ焚書リスト(日・独を除く)
GHQ焚書リストの中から、タイトルにイタリア、タイなどの枢軸国(日本、ドイツを除く)に関する国名、主要都市名、植民地、主要人物名を含む本・パンフレットをリスト化しました。分類欄で「〇」と表示されている書籍は、誰でもネットで読むことが出来ます。「△」と表示されている書籍は、「国立国会図書館デジタルコレクション」の送信サービス(無料)を申し込めば、ネットで読むことが可能になります。
タイトル | 著者・編者 | 出版社 | 分類 | 国立国会図書館デジタルコレクションURL 〇:ネット公開 △:送信サービス手続き要 ×:国立国会図書館限定公開 |
出版年 | 備考 |
新たなるタイ | 宮原武雄 | 図書研究社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1876159 | 昭和17 | |
伊エ問題とエチオピア事情 | エチオピア問題懇談会編 | 黒龍会出版部 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1232296 | 昭和10 | |
イタリア国民厚生運動 : 「勤労の後」国民運動 |
青木治朗 | 安土書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1275903 | 昭和18 | |
イタリヤの文化政策 | 東又清 | 文松堂 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1438878 | 昭和18 | |
伊太利問題と地中海 | 景山哲夫 | 牧書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1450353 | 昭和19 | |
イタリア三国同盟一周年記念特輯 | 石川 昌 編 | イタリアの友の会 | 国立国会図書館に蔵書なし あるいはデジタル化未済 |
昭和16 | ||
イタリーの決意 | 片倉藤次郎 | 朝日書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1682687 | 昭和16 | |
エチオピア皇帝とムッソリーニ | 永松浅造 | 森田書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1099478 | 昭和10 | |
エチオピヤの実相を語る | 大阪毎日新聞社 編 | 大阪毎日新聞社 | 国立国会図書館に蔵書なし あるいはデジタル化未済 |
昭和10 | ||
エティオピア戦役 | ピエトロ・バドリオ 横堀富雄 訳 |
金城書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1042802 | 昭和17 | |
現地に視るタイ国華僑 | 天田六郎 | 南洋協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1262073 | 昭和14 | |
最近の伊太利政治 : ムッソリーニの国策 |
田畑為彦 | 言海書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1279430 | 昭和10 | |
世界大戦を孕らむ英伊エチオピヤの危機 | 小林虎治 | 那須書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1224766 | 昭和10 | |
タイ王国 | 松井政平 | アルス | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1044124 | 昭和17 | アルス文化叢書 ; 16 |
泰国資源経済論 | 吉田栄太郎 | 三笘書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1065782 | 昭和17 | 現代学芸全書133 |
タイ国通史 | 日本タイ協会 編 | 興亜日本社 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1042521 | 昭和17 | |
泰国と日本文化 | 柳沢健 | 不二書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1123979 | 昭和18 | |
泰国農村経済論 | 明石二郎 関義彦 | 中央公論社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1716991 | 昭和17 | 太平洋問題研究叢書 |
タイ国の交通現勢 | 宮原武雄 | 国際交通文化協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1265615 | 昭和16 | 交通文化叢書. 第6輯 |
泰国風物詩 | 宮原武雄 | 岡倉書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1272924 | 昭和17 | 新東亜風土記叢書 1 |
泰国、仏印と日本人 | 福中又次 | 婦女界社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1877531 | 昭和16 | |
大戦外交読本 ③伊参戦より三国条約成立 |
情報局第三部 編 | 博文館 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1440136 | 昭和15 | |
泰ビルマ、印度 | 東恩納寛惇 | 大日本雄弁会講談社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1878004 | 昭和16 | |
泰、仏印飛びある記 | 金田信儀 | 善隣社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1066945 | 昭和17 | |
たいわたな(泰国寿永) | 磯部美知 | 慶文堂書店 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1438872 | 昭和18 | |
ドイツ、イタリーの統制経済 | 国政一新会 訳 | 国政一新会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1263339 | 昭和13 | |
東京、ベルリン、ローマ、 危機寸前を衝く 第1 |
伊藤稔 編 | 三邦出版社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1022946 | 昭和14 | |
東京、ベルリン、ローマ 第2 | 伊藤稔 編 | 三邦出版社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1056038 | 昭和14 | |
独伊に使して | 児玉璋六 編 | 日本新聞協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1686875 | 昭和14 | |
独伊の完勝と其の後のアメリカ | 関根郡平 | 東亜建設協会出版部 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1282241 | 昭和15 | 東亜建設協会世界動向展望 ; 第5冊 |
独伊の世界政策 | 小島威彦 | ヨーロッパ問題研究所 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1216973 | 昭和14 | 戦争文化叢書 ; 第4輯 |
独伊より帰りて日本国民に訴ふ | 中野正剛 | 銀座書房 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1282222 | 昭和13 | |
独仏、伊仏休戦協約全貌 | 片倉藤次郎 訳 | 朝日書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1686851 | 昭和15 | |
日伊協会会報. 第1号 | 日伊協会 編 | 日伊協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1142144 | 昭和16-18 | |
日伊文化協定 | 国際文化振興会 編 | 国際文化振興会 | 国立国会図書館に蔵書なし あるいはデジタル化未済 |
昭和14 | ||
日英米仏伊軍艦集. 1935年版 | 海軍研究社 編 | 海軍研究社 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1109500 | 昭和10 | |
日独伊枢軸論 | 白鳥敏夫 | アルス | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1683570 | 昭和15 | ナチス叢書 5 |
日独伊三国同盟と日本の進路 | 城北隠士 | 亜細亜出版社 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1098086 | 昭和15 | |
日独伊協定の真目的 | 馬奈木敬信 奥村喜和男 |
生活社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1256722 | 昭和12 | |
日独伊同盟と日本の将来 | 野依秀市 | 秀文閣書房 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1686991 | 昭和15 | |
日泰関係と山田長政 | 中田千畝 | 日本外政協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1058230 | 昭和18 | |
日本とイタリア | カルロ・フォルミキ | 日伊協会 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1123122 | 昭和16 | |
日本と泰国との関係 | 内田銀蔵 | 創元社 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1440243 | 昭和16 | 日本文化名選 ; 第2輯 第7 |
人間ムッソリーニ | 松山悦三 | 人生社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1255789 | 昭和14 | 人生新書 ; 第1期 第4篇 |
驀進日本 : 日独伊同盟と再建世界 | 小林知治 | 国防攻究会 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1457163 | 昭和15 | |
ファシスタ教本 : イタリア生活記 | 米谷隆三 | 実業之日本社 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1275945 | 昭和16 | |
防共協定とナチス、 ファッショ革命 |
鹿島守之助 | 巌松堂書店 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1246814 | 昭和13 | |
ムッソリーニ全集第8巻 世界新秩序への胎動 |
ムッソリーニ 下位春吉 訳 |
改造社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1265200 | 昭和16 | |
ムッソリーニ全集第9巻 我が塹壕日記 他 |
ムッソリーニ 下位春吉 訳 |
改造社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1265220 | 昭和16 | |
ムッソリーニ全集第10巻 わが自叙伝 |
ムッソリーニ 木村 毅 訳 |
改造社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1265238 | 昭和16 | |
ムッソリーニ、ルーズヴェルト | 塩津誠作、松本梧朗訳 | 春陽堂 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1193273 | 昭和6 | 世界人伝記叢書. 第4 |
躍進泰国の全貌 | 宮原武夫 | 愛国新聞社 | △ | https://dl.ndl.go.jp/pid/1877996 | 昭和16 | 大東亜共栄圏叢書 ; 第2編 |
老獪大英帝国を倒せ: 日独伊の 提携によりて世界領土の 再分割実現を貫徹せよ |
佐々鴻吉 | 国際事情研究会 | 〇 | https://dl.ndl.go.jp/pid/1270724 | 昭和10 |
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。よろしければ、この応援ボタンをクリックしていただくと、ランキングに反映されて大変励みになります。お手数をかけて申し訳ありません。
↓ ↓
【ブログ内検索】
大手の検索サイトでは、このブログの記事の多くは検索順位が上がらないようにされているようです。過去記事を探す場合は、この検索ボックスにキーワードを入れて検索ください。
前ブログ(『しばやんの日々』)で書き溜めてきたテーマをもとに、2019年の4月に初めての著書である『大航海時代にわが国が西洋の植民地にならなかったのはなぜか』を出版しました。一時在庫を切らして皆様にご迷惑をおかけしましたが、第三刷が完了して在庫不足は解決しています。
全国どこの書店でもお取り寄せが可能ですし、ネットでも購入ができます(\1,650)。
電子書籍はKindle、楽天Koboより購入が可能です(\1,155)。
またKindle Unlimited会員の方は、読み放題(無料)で読むことができます。
内容の詳細や書評などは次の記事をご参照ください。
コメント